タベサクの食レポブログ!

日本(と時々海外)で印象的だったお店の料理を主観全開でレポートします。うん万円する鉄板焼き料理から、メイド喫茶の魔法がかかったスイーツまで!

食レポ#040 こんなに美味しいのに、なぜガイドブックはノーマークなんだ!?今回の旅でダントツ美味しかった行列ピッツェリア"Ristorante Pizzeria Maruzzella"[2ndイタリア編 その4]

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2017.Apr イタリア ミラノ2日目 夕食編

2017年4月のミラノの旅での食生活を振り返ってみて、間違いなく一番強く印象に残ったと言い切れるお店が、ピッツェリア"Ristorante Pizzeria Maruzzella"である。

それも、ダントツに。

私はこの記事を通して、日本にいる皆様に是非このお店の存在を知って頂きたい。というのも、ガイドブックはおろか、日本語で運営されているサイトで"Ristorante Pizzeria Maruzzella"を取り上げているお店があまりにも少ないのだ。

 

かくいう私も、ミラノで合流した友達からこのお店の存在を教えてもらうまで、全くのノーマークだった。それはそうだ、調べようにもどこにも情報が載っていないのだから。友達曰く、国内外問わずミラノ好きな人にとっては超有名人気店で、開店して一瞬で満席になり、お店の前は連日長蛇の列が出来るのだという。

 

ミラノ滞在2日目の夜、アパートをシェアしていた友達5人で夕飯を食べに行こうという話になった(アパートからは徒歩でも行けるほど近い)。正直、その日の昼にもマルゲリータピザを食べていたのだが、そこまで評判の店ならばと思い行くことを決意した(4泊5日のミラノ滞在中、ピザは計5回食べました)。

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別行動していた友達の1人が先に行って並んでいてくれていたのだが、既にお店の前は大混雑とのこと。我々も後で合流してみると、ご覧のような有様である。噂は本当だ!と期待感を抱きつつ、隣のマクドナルドで買ったコーヒーを飲みながら順番が来るのを待つ。ようやく順番が回ってきた頃には、時刻は既に21時をこえていた。

 

お店の扉をくぐると、目の前に銅が使われた巨大なピザ窯が出迎えてくれる。店内は奥に広く、全部で4〜50人ほどのキャパがある広々とした空間だ。お店に入ると、店長と思しきおじさんが、友達を名指しで出迎えてくれた。さすが昨年もミラノサローネに出店しているだけあって、まるで常連客のような風格が感じられる。。。

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久しぶりに来られたことでやたらテンションの上がっている常連の友達に、メニューのチョイスは全て任せる事にした。ちゃんとオススメのメニューがあるらしい。前菜としてブルスケッタオリーブの実プロシュートをまず注文し、メインのピザを厳選する。友達のチョイスは、"マリナーラ""シーフードピザ""生ハムとルッコラのピザ"の3品。ピザはほとんどマルゲリータくらいしか注文したことのない私にとっては、どれも未知なチョイスである。

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特に"マリナーラ"は気にもとめたことのないピザだったのだが、これはトマトソースとオリーブオイルとニンニクしか使っていない超絶シンプルなピザで、これにモッツァレラチーズやバジルが加わるとおなじみのマルゲリータになる。友達曰く"Ristorante Pizzeria Maruzzella"はこの"マリナーラ"が特に美味しいのだという。

 

混雑で厨房が絶賛炎上中なのか、注文から大分待った後、待望のピザたちがテーブルに運ばれてきた。巨大なホールピザが3枚も並ぶと、中々に荘厳だ。

味の結論から言うと、私はこのお店の料理で使われていたイタリアの食材が全て大好きになった。特にピザにも載っていたルッコラは、ここまで魅力的な風味で美味しい野菜だったのかとカルチャーショックを受けた程である。

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また、どちらかというと苦手だったオリーブの実も、美味しい物は本当に美味しいと気付かされた。しかし、私が最も感動した食材は、前菜でもピザに乗った具材でも無い。

それは、ピザ生地である。

 

今回のミラノの旅で食べたもので一番美味しかったものと聞かれたら、このピザの耳と答えるくらい美味しかった。生地の硬さや厚み、小麦の風味全てが高次元でバランスがとれていて、たかがピザの耳にこれだけ驚かされるとは思ってもみなかった。

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また、ピザと一緒に注文したリゾットは、妻曰くミラノ旅行で食べた物の中で一番美味しかったという。余計な材料は一切使わず、お米とチーズの旨みだけで真っ向勝負を仕掛けてくる濃厚な味わいの逸品だ。

 

前菜とピザを食した時点で既に大満足だったのだが、ここで友達が"ブラータ!!"という謎のワードを口にした。お恥ずかしい話、食レポブログを立ち上げていながら私はこの"ブラータ"のことを全く知らなかった。"ブラータ"とは、端的に言うと"モッツァレラをモッツァレラで包んだもの"である。私も最初そう説明された時、訳が分からなかった。だが現物を見ると、本当に"モッツァレラをモッツァレラで包んだもの"なのだ。

 

厳密に言うと、中身はモッツァレラではなく、クリームを加えたモッツァレラなのだ。なので、玉のように形作られたモッツァレラの塊を切ると、中からクリーム状のモッツァレラが流れ出て来るという、モッツァレラ好きなら気絶してしまうような料理がこの"ブラータ"なのだ。

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説明の字面だけでも生唾もののこの"ブラータ"、味もとんでもなかった。何なのだ、この濃厚さとフレッシュさは。恐らく塩すらも使っていないのに、なぜモッツァレラのミルキーさと風味だけでここまで奥深い味わいになるのだろうか。そしてこのとろけるような滑らかさは何なのか。モッツァレラ本来のポテンシャルだけで勝負をかけてくる料理で、色々と理解が追いつかない味だった。この料理、できれば日本で一度食べておきたかった。私の中での"ブラータ"の基準が、本場イタリアでの味になってしまったからだ。これを超える味に日本で出会えるのか、不安である。

 

5人でこれだけ色々な料理を飲み食いしたので、最後中々の額を請求されるのではないかと身構えていた。レシートを見ると、金額は100€ジャスト。1人たったの2000円ほどではないか!後で英語の堪能な友達に聞いたところ、どうやらお店の人がサービスで(というかテキトーな勘定で?)100€ジャストにしてくれたんじゃないか、との事らしいが、その真意は定かではない。

 

とにかく、私は友達のおかげで今晩も最高のイタリア料理に意図せず出会えてしまったのである。友達からの情報は、時としてどんなガイドブックにも勝ることを改めて実感したのであった。